育成会について

坂本等さん写真展

重度知的障害の坂本等さんが写真展/感性のよさに称賛の声

 

 重度の知的障害がある坂本等さん(北九州市八幡西区在住44歳)の写真展が同区黒崎の「きさろく館カフェ」で12月24日までの2週間開かれている。市障害者芸術文化応援センター主催の「かがやき作品展」の一環。知的障害者による写真展は珍しいこともあって多くの市民の関心を集めている。

 作品は坂本さんが撮り始めたころから今日までのものの中からえりすぐった14点で、いずれも写真のアングル(構図)が素晴らしく、温もりを感じさせる力作となっている。

 このうち「働く」と題した作品は寒さの中、線路工事に精を出す作業員の仕事ぶりを捉えたもので、アングルの良さに加え、仕事の厳しさをしっかりと写している。また、「想い出のグリーングラス」は、韓国旅行の際にある庭園で目にした吹き出しのシャボン玉をあたかも生き物のように大きくアップしており、シャッターチャンスの見事さが光っている。このほかいずれの作品もカメラアングルがよく、感性の良さを感じさせるものとなっている。

 等さんが写真撮影に興味を持ち始めたのは、2010年に育成会の「ひまわり写真展」が開催されたころから。同じ頃、通所している障害者福祉事業所「若松工芸舎」に写真クラブができたこともあって、関心が増したという。そして、2010年には「ひまわり写真展」と北九州市芸術祭で表彰され、2015年にもひまわりアート展で特別賞を受賞している。ただ、母親のならゑさんによると、どのような場所(情況)が絵になるかを自分だけで見極めるにまだまだ困難があるようで、彼女の示唆もあって撮影場所に臨み、シャッターを切っているという。

 一方、会場の「きさろく館」では、来場者に作品への感想を聞いているが、その中には「全ての作品が素敵で、温かさを感じる」、「これからも心のこもった写真を期待」といった称賛や激励の声が寄せられている。なお、「かがやき作品展」は今回で11回目だが、写真展としては初めてとなっている。

 

坂本等ホームページ写真

作品展の前で収まる等さん(右)と母・ならゑさん

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対市要望意見交換会

来年度予算要望/市と育成会が意見交換会

 

 北九州市手をつなぐ育成会は12月18日、北九州市に対する平成28年度の予算要望について障害福祉課と意見交換会を行いました。これには育成会から北原守会長ら役員等が、また市側からは安藤卓雄発達障害担当課長らが出席しました。

 要望事項は事前に文書で提出し、回答を得ています。内容は①障害者支援施設(入所施設)おける老朽施設の建て替えと利用者の余暇活動での移動支援、②グループホームにおける重度・強度行動障害者の支援、③強度行動障害者に対する支援者養成、➃移動支援における委託契約要件の緩和とグループ支援、⑤知的障害に対する医師の理解促進と支援区分認定制度の「医師意見書」への記載協力、⑥就労継続A型事業所のさらなる展開と、市における知的障害者の雇用促進と正規職員への登用、⑦障害者差別解消法における市職員の合理的配慮の提供、⑧市営プールでの障害者の専用利用、⑨重度障害者医療費支給制度の継続の9項目からなっていますが、この日はこのうちの7項目について意見交換を行いました。

 意見交換の中で安藤課長らは、①の老朽施設の建て替えでは、利用者側の意見を当該法人にも伝えたい、➃の移動支援でのグループ支援では利用者側の意見も聞き、制度化を考えたいと述べるとともに、⑤の医師への協力要請では、研修を通して医師の障害者理解が進み、意見書記載への協力も進展しつつある状況を報告、今後も協力を要請したいとしています。また、⑥の障害者雇用では、27年度4月時点でA型事業所が40ヶ所で定員756人となっていることを報告するとともに、市庁舎内に「障害者ワークステーション」を新設し、知的障害者等の雇用に力を注いでいることや、「共同受注センター」を開設(民間委託)し、小規模事業所等の受注が活発化しつつあることなどを報告しました。⑦の差別解消法における市職員の合理的配慮の提供では、解消法に基づく対応要領(ガイドライン)を当事者団体と連携しながら作成中であり、来年の施行に向け積極的な普及啓発を行いたいとしています。

 これらに対し参加者からは、地域での障害者情報が乏しいこともあって支援活動がうまくいっていない(民生委員を兼務)といった声や、差別の解消には仕組みと合わせ、何よりも市職員の資質の向上が欠かせないといった指摘もありました。

 育成会では、今回の予算要望と意見交換を踏まえ、来年度に向けた課題を精査し、実践に移していくことにしています。

 

意見交換会

写真は実践を踏まえたやり取りが行われた   意見交換会

 

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